『コンビニ人間』村田沙耶香

コンビニ人間』を読んだ。

本でも映画でもネタバレなしで挑みたい人間なんですけど、ちらっと検索したら、主人公の古倉恵子について「サイコパスっぽい」という感想をちらほら見かけた。
確かにあらすじ読むと「普通」ではない人物だなという印象。
子どもの頃のエピソードや妹の子どもへの考え方にはぞっとした。感情がないのか?とまで思ってしまった。
でも家族が自分を心配していること、どう立ち回れば問題なく日常を送ることができるのか(というより「普通」の人としてかな)は意識している。
ふと、恵子は最短距離で解決策を導いてるのかもしれないと思った。
喧嘩を”止める”、先生を”静かにさせる”、赤ちゃんを”泣き止ませる”。これらの目的を達成するための行動が、痛そうかわいそうといった人間的感情を挟まず機械的に導かれている感じ。まあ目的は達成できるけど、それはないよねと。
あと、マニュアル通りに飽きることなく完璧に働くことができるのはそれも才能だと思う。

そして登場するバイト先の新人、白羽。
彼が申し訳ないくらい苦手で、読んでて鳥肌が立ちそうだった。

恵子と白羽の共通点は、世間一般からみて「普通」ではないこと。
就職して結婚して子ども産んで~といった一般的なライフプランから外れているとなぜ周りの人々は干渉してくるのかと悩む。
最初は「なんだかやばい二人だな」って思っていたけど、「普通」になれない二人の葛藤を見てると社会の多様性とは?と思う。誰に迷惑をかけるでもなく(この点、白羽はアウトだけど)生活する分には何してもいいのでは、と。

かく言う私も二度目の無職を満喫しているわけで、「普通」のキャリアプランからもライフプランからも外れた道を突き進んでいる真っ最中。
めんどくさいなと思うけど、日本社会で生きていくには最低限の日本社会のルールや暗黙の了解に沿っていかなきゃいけない。就活・転職活動と一緒で、履歴書の書き方・面接の答え方にルールがあるように。
そのうち世間の目がしんどく感じるときが来るのだろうか。いやー生きるのって大変だなぁ。

 

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